
本の紹介
- タイトル:皇国の守護者
- 作者:佐藤大輔
- ジャンル:架空戦記小説
こんな方におすすめします
- 戦術・戦略・兵器の描写が好きな方。
- 架空戦記ものが好きだけど、魔法や超常現象の要素が少ない作品を探している方。
- 緻密な時代設定とリアリティのある戦記物を楽しみたい方。
あらすじ
物語の舞台は、地球とは異なる惑星。そこでは、人間とほぼ同じ姿をした種族と、「龍」や「サーベルタイガー」のような生き物が共存しています。一部の人間と龍は「道術」と呼ばれるテレパシーのような能力で意思疎通を図ることができます。
時代背景は、ナポレオン時代や幕末に近い雰囲気。物語は、大国「帝国」と、小さいながらも経済的に豊かな島国「皇国」の戦争から始まります。帝国が皇国への侵攻を開始し、北部の島へ上陸。主人公である皇国の士官、新城直衛中尉が、撤退する皇国軍の時間稼ぎを担います。
新城は、周囲から疎まれてきた存在でしたが、持ち前の知識と冷静な判断力で敵軍を翻弄し、戦術を駆使して友軍の撤退を成功へと導きます。しかし、その戦いは一筋縄ではいかず、最終的に降伏することとなります。
第三巻の舞台
新城直衛は捕虜交換により皇国へ帰還します。本来は捕虜の立場でしたが、皇国側は彼を「友軍を救った英雄」として扱いました。戦いに敗れた皇国には、新たな象徴が必要だったのです。こうして彼は、望まぬ英雄として政治的な思惑の中に巻き込まれていきます。
帰国後、新城は皇国の近衛部隊の指揮官に任命されます。
しかし、この近衛部隊は精強とは程遠く、寄せ集めの素人同然の兵士たちでした。
新城は明確な目的を持ち、冷徹な決断を下しながら、部隊を鍛え上げていきます。
使えるものはすべて使い、使えないものは見切りながらも、最適な形へと作り変えていく様子が印象的でした。
戦場へ再び
新城が部隊を鍛えている最中、帝国軍が本土北部へ上陸を開始します。育成途中の部隊も戦線へ投入され、新城も彼らを率いて戦場へ向かいます。戦場では皇国軍が不利な状況に追い込まれますが、新城は起死回生の作戦を提案し、それが採用されました。
その作戦とは、夜間浸透突破作戦。上陸地点に設けられた敵の本営を直接攻撃し、敵軍を混乱させるというものです。部隊は多くの敵を退けながら進撃し、敵本営の目前に迫ります。
しかし、まさに全員突撃の命令を出す直前、皇国側から全軍撤退の命令が下されます。

印象に残った場面
この巻で最も印象に残ったのは、新城が素人同然の近衛部隊を鍛え上げる過程でした。
彼は目的を持って冷徹に行動し、理想の軍隊へと変革を試みます。
彼の合理的な判断と、それを貫く意志の強さには圧倒されました。
私はどうしても周囲の人の気持ちを考えてしまうため、新城のような冷徹さを持つことは難しいと感じます。しかし、彼のような指導者がいるからこそ、軍は機能し、勝利へと繋がるのだとも思いました。
まとめ
第三巻では、皇国へ戻った新城が英雄として扱われ、近衛部隊を鍛え上げる様子が描かれます。
戦場では敵将ユーリアとの再戦が期待されましたが、寸前のところで撤退となり、二人の直接対決は持ち越されました。
ユーリアと新城は互いに惹かれながらも、決して相容れない関係です。
次巻で二人が再び戦場で相まみえるのか、今後の展開がますます楽しみです。
今回もブログを読んでいただき、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう!
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