
『皇国の守護者』シリーズの魅力
佐藤大輔氏の『皇国の守護者』は、架空の世界を舞台にした戦記小説でありながら、リアルな戦術・戦略描写が特徴です。
ナポレオン時代や幕末を思わせる時代背景の中、戦場での熾烈な戦いや政治的駆け引きが緻密に描かれています。
こんな方におすすめです
- 戦術・戦略・兵器の描写が好きな方
- 架空戦記が好きだけど、魔法や超常現象が少ない作品を探している方
- 緻密な時代設定とリアリティのある戦記物を楽しみたい方
単なる戦争物語ではなく、登場人物たちの心理戦や政治的駆け引きが繊細に描かれており、戦記小説の醍醐味を存分に味わえる作品です。
登場人物紹介
本記事では、『皇国の守護者』に登場する主要人物を分かりやすく紹介します。
物語の中心となる新城直衛をはじめ、彼と関わるキャラクターたちの関係性を簡潔にまとめました。
皇国
新城直衛(しんじょう なおえ)
本作の主人公。帝国軍侵攻時に陸軍中尉。 戦災孤児として駒城家に拾われ、育てられる。剣牙虎と呼ばれる猛獣が配属された精鋭部隊・剣虎兵の将校として各地を転戦し、多くの戦果を挙げながら昇進を重ねる。
千早(ちはや)
新城の剣牙虎。サーベルタイガーのような生き物で、戦場では猛獣として恐るべき戦闘力を発揮する。新城とは主従を超えた深い信頼関係を築いている。
蓮乃(はすの)
新城の義姉であり幼馴染。駒城家の一員として新城と共に育つが、のちに駒城保胤の愛妾となる。新城とは複雑な関係にあり、彼の行く末を案じ続ける。
天霧冴香(あまぎり さえか)
新城の個人副官。卓越した能力と忠誠心を持ち、戦場では新城の指示を的確に遂行する。新城に対し特別な感情を抱いている。
坂東一之丞(ばんどう いちのじょう)
天龍(飛竜)であり、新城に命を救われて以来、彼と行動を共にする。空中戦において重要な役割を果たす。
佐脇俊兼(さわき としかね)
新城と同い年の陸軍大尉。新城に対し長年悪意を抱いており、戦場では硬直した思考によって成果を上げられず罷免される。最終的に新城の殺害を計画する。
皇国/水軍
笹嶋定信(ささじま さだのぶ)
水軍の将校。撤退戦の際、新城に帝国軍の進撃を遅らせるよう依頼する。その後も新城と関わりを持ち、戦局に影響を与えていく。
帝国
ユーリア
帝国の東方辺境領姫であり、東方辺境鎮定軍総司令官、元帥。
皇国侵攻の総指揮官を務めるが、新城との戦いを経て彼の基へ降る。
ゴトフリート・ノルティング・フォン・バルクホルン
帝国軍騎兵大尉。新城と交戦した際に命を救われ、その恩義から新城を友人として認める。敵国同士ながら、新城とは信頼関係を築く。
『皇国の守護者』は、戦記ものとしての緻密な戦略描写に加え、個性的なキャラクターたちの関係性も魅力の一つです。彼らの物語がどのように展開するのか、ぜひ本編を読んで確かめてください!
第一巻から第八巻までのあらすじ
第一巻:戦場の幕開け
物語は、大国「帝国」と小国「皇国」の戦争から始まります。帝国軍が皇国北部の島へ侵攻し、主人公・新城直衛中尉は撤退戦を指揮。周囲から疎まれる存在ながらも、卓越した戦術と冷静な判断で敵軍を翻弄し、友軍の撤退を成功させます。しかし、彼の戦いはこれで終わらず、次なる苦難が待ち受けています。
第二巻:捕虜交換と敵将との出会い
新城は持久戦を展開し、敵を翻弄するも、最終的に降伏。捕虜交換が決まり、皇国へ帰還するまでの間、彼は帝国軍のバルク大尉やユーリア元帥と出会います。特にユーリア元帥とは互いに興味を抱きながらも相いれない関係として描かれ、今後の展開に影響を与えます。
第三巻:英雄としての帰還と新たな任務
皇国に戻った新城は「友軍を救った英雄」として扱われますが、これは政治的な思惑によるものでした。彼は精強とは言い難い近衛部隊の指揮官に任命され、素人同然の兵士たちを鍛え上げることになります。一方で、帝国軍が本土北部へ上陸し、新城は新たな戦場へと赴きます。
第四巻から第六巻:戦場での成長と敵将との対峙
育成途中の部隊を率いて戦場に立つ新城。彼の冷徹な判断と合理的な戦術が功を奏し、窮地を脱していきます。また、帝国のユーリア元帥との再戦も描かれ、互いの信念が激突する場面は本作の見どころの一つです。
第七・八巻:戦争から政治闘争へ
戦場での勝利を経て、皇国内では新城を巡る政治的な駆け引きが激化します。戦闘シーンはほとんどなく、仲間たちとの関係性や過去の因縁に決着をつける展開となります。特に、新城が長年愛していた姉との別れや、同じ勢力内での確執の清算が印象的です。そして、ラストでは新城の新たな歴史の始まりを予感させる終幕となります。
印象に残った場面
- 新城の独自の発想や大胆な構想によって、戦況が覆る瞬間
- 仲間たちから英雄として認められる場面
- 新城と敵将ユーリア元帥の関係性の変化
- 最後の戦いを経て、新城が自らの運命を受け入れるシーン
まとめ
『皇国の守護者』は、単なる戦記小説ではなく、戦術・戦略、心理戦、政治闘争を巧みに描いた作品です。
未完ではあるものの、ここまでの物語だけでも十分な読み応えがあります。主人公・新城直衛の冷徹かつ合理的な決断が戦局を動かしていく様子は、戦記ものとして非常に魅力的です。
佐藤大輔氏の作品を紹介します。
佐藤氏は亡くなっているため、完結したシリーズは『征途』のみです。
- 征途
- レッドサン ブラッククロス
- 遙かなる星
- 東京の優しい掟
- 虚栄の掟
- 地球連邦の興亡
- 皇国の守護者
佐藤大輔氏の描く壮大な戦記の世界を、ぜひ皆さんも味わってみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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