若い頃にロシア文学を読んでいた私が、久しぶりにその世界に戻りたくなって手に取ったのが、奈倉有里さんの著書『ロシア文学の教室』です。
この本は、ある大学で行われるロシア文学の講義を舞台に、学生たちが文学作品の中に”入り込む”という、ユニークで魅力的な構成になっています。読み物としても、ロシア文学の入門書としても楽しめる一冊です。
本の内容と特徴
講義は全12回。毎回1つの作品を取り上げながら、学生たちは文字どおりその物語の中に入り込み、登場人物として体験していきます。単に読んで学ぶのではなく、「感じて、行動して、理解する」スタイルがこの本の最大の特徴です。
取り上げられる作品はこちら:
- ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』
- プーシキン『盗賊の兄弟』+抒情詩
- ドストエフスキー『白夜』
- ゲルツェン『向こう岸から』
- レールモントフ『悪魔』
- ゴンチャロフ『オブローモフ』
- ツルゲーネフ『父と子』
- ネクラーソフ『ロシヤは誰に住みよいか』
- チェーホフの初期短篇集
- ゴーリキー『どん底』
- ガルシン「アッタレーア・プリンケプス」
- トルストイ『復活』
学生たちは作品世界に没入し、登場人物の感情や背景を”自分のこと”として体験することで、文学を深く理解していきます。読者もまた、彼らと一緒にその旅をたどるような気持ちになれるのです。
読んで感じたこと
難解だと思っていたロシア文学も、この本では物語形式で紹介されているため、自然と入り込むことができました。
文学作品だけでなく、戦争や社会、愛といった現代にも通じるテーマが語られており、学生たちの感情の揺れや成長にも引き込まれます。
まとめ:ロシア文学が初めての方にもおすすめ
ロシア文学はとっつきにくいと感じている方にこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
講義形式で物語が進んでいくので堅苦しさはなく、まるで読者自身も教室に参加しているような感覚に。
この本をきっかけに、もう一度ロシア文学を読み直してみたくなりました。
興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
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