若い頃、どうしてあんなにもぐっすり眠れていたんだろう。
最近、ふとそんなことを思うようになりました。50代も後半にさしかかり、体の変化や心の揺らぎを感じることが増えた今、改めて「睡眠の大切さ」をしみじみと実感しています。
20代の頃は、徹夜なんて当たり前。
夜遅くまで遊んだり仕事をしたりしても、次の日にはケロッと起きて動けていました。
どんなに眠っても寝過ぎることはなく、疲れたら寝て回復する。
そんな自然な流れの中で生きていた気がします。
でも今は、眠れなかった翌日が本当につらい。
日中の集中力が落ち、物忘れが増え、何より気力が湧いてこないんです。
ちょっとしたことにもくじけそうになり、前向きな気持ちを保つのが難しくなる。
睡眠が足りないと、自分らしさまで失われてしまうような気がします。
「睡眠の質」が心にも体にも深く関係していることを、ようやく実感するようになりました。
睡眠不足が引き起こす、心と体への影響
最近では「睡眠負債」という言葉もよく耳にするようになりました。
睡眠不足は借金のように積み重なり、やがて体や心に大きな負担となって現れてきます。
特に気をつけたいのが、メンタルへの影響です。
睡眠と心の健康は、密接につながっています。
眠れない状態が続くと、気分が落ち込みやすくなったり物事に対して興味を持てなくなったり……。
実際、うつ病の初期症状として「眠れないこと」が挙げられることも少なくありません。
自分が「心の不調」に陥るとは思っていなかった。
実は私自身も、一度うつのような状態になったことがあります。
当時は仕事がうまくいかず、毎日大きなストレスを感じていました。
夜になると頭が冴えてしまい、布団に入っても眠れない。
目を閉じても、どんどん不安が湧いてきて、ただ朝を待つだけの時間が苦痛でした。
そんな夜が何日も続くうちに、体が重く感じるようになり「何もしたくない」「このまま消えてしまえたら楽かもしれない」、そんなことまで考えるようになってしまったのです。
実際に行動に移すことはありませんでしたが、思考がそこまで追い込まれていたことが自分でも怖かった。
きっと、もっと早く眠れていたらあそこまで追い詰められることはなかったかもしれません。
医師に話を聞いてもらうだけで、心が軽くなった
そんなとき、かかりつけの医師に相談したところ、心療内科を紹介してもらいました。
予約が取れたのは1か月後。
その間も気持ちは沈み続け、毎日が本当にしんどかったのを覚えています。
ようやく受診した日。
私は、眠れないこと、何も楽しいと感じないこと、生きているのが辛いと感じていること、すべてを医師に話しました。
医師はゆっくりと話を聞いてくれてました。
随分長い時間一人で考えた後に診断を利かせてくれました。
「まだ比較的軽い状態です」と言って、軽めの抗うつ薬と睡眠導入剤を処方してくれました。
驚いたのは、薬をもらったことよりも、「誰かに話を聞いてもらえた」ことが、心の重荷を少しだけ軽くしてくれたことです。
誰にでも起こり得る、心の不調
私は以前、会社でメンタル不調に陥った社員の相談やサポートをする立場にいました。
だからこそ、自分がその立場になるとは思ってもみませんでした。
でも実際は、誰にでも起こり得ることなんだと思います。
睡眠を軽く見ていたことが、心のバランスを崩す一因だったのかもしれません。
「眠ること」は、ただの休息ではありません。
体を休め、脳を整理し、心を回復させる、この様な効果があるとても大切な時間なのです。
「眠れること」は、それだけで価値がある。
今では、自分に合った生活リズムを意識するようになりました。
寝る前にスマホを見ないようにしたり、夜遅くのカフェインを控えたり、ほんの小さな工夫を積み重ねることで、少しずつ眠りの質が整ってきました。
年齢を重ねると、「眠る」ことは、自然に任せるだけでは難しくなってきます。
だからこそ、意識して整えることが大事なのだと、今は心から思います。
もし最近、「眠れていない」「なんだか元気が出ない」と感じている方がいたら、ぜひ一度、ご自身の生活リズムや睡眠環境を見直してみてください。
眠ることは、心と身体のメンテナンス。
そして、自分を大切にするための第一歩です。
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