
若い頃、どうしてあんなに長時間ぐっすり眠れたのだろう?
目が覚めることもなく、朝まで熟睡。そんな日々が当たり前でした。
けれど、50代後半に入ってから、改めて「睡眠の大切さ」をひしひしと実感するようになりました。
まず、しっかり眠れなかった翌日は、生活全体のパフォーマンスがガクンと落ちてしまいます。
記憶力も鈍くなり、気合いや粘りも続かない。
「寝不足って、こんなにも人間を無力にするのか」と驚かされます。
20代の頃、徹夜して仕事をこなしていたのが、今ではまるで夢のようです。
最近では「徹夜明けの脳の働きは、酔っ払いと同じレベル」といった研究結果もあるそうです。
そして、眠れないことは身体にも心にも悪影響を及ぼします。
そのひとつが“うつ状態”です。
実は私自身、一時的にうつ状態に陥ったことがあります。
仕事が思うように進まず、気持ちが落ち込み、次第に眠れなくなってしまいました。
「自分がしっかりしていないからこうなるんだ」と自分を責め、
「我慢していれば、きっと状況はよくなる」と信じ込んでいた日々。
これまでも気分の波は何度も経験してきましたが、今回は様子が違っていました。
何日経っても改善しない。
眠れない夜が何ヶ月も続き、体調もどんどん悪化。
電車に乗ると汗が噴き出し、やがて電車に乗ることさえ怖くなっていきました。
「これはもう限界だ」と思い、近所のかかりつけ医に相談。
そこで紹介してもらった心療内科は、予約がいっぱいで診察は1ヶ月後。
その1ヶ月を待つことが、本当に辛かったです。
体調は最悪で、「この苦しみから解放されるなら死んだ方がいい」と思ったこともありました。
でも実際に行動に移せなかったのは、自分の弱さだったのかもしれません。
あの頃、どうやって仕事に通っていたのか、正直あまり記憶にありません。
頭が働かず、常にぼんやりしていたように思います。
そしてようやく診察の日。
医師はじっくりと話を聞いてくれました。
「楽しいことが何もなく、生きているのが辛い」
「夜、眠れない」
「でも、なぜか会社に行くと落ち着く瞬間がある」
そんな私の状態を丁寧に受け止めてくれました。
診断は「軽度のうつ状態」。
最も軽い抗うつ薬と睡眠導入剤を処方されました。
少しずつ体調は回復し、眠れるようにもなりました。
月に1度の通院を続けて約半年後には、薬をやめられるまでに。
薬をやめるときは不安でした。
「また元に戻るんじゃないか?」という思いが頭をよぎりました。
そんな私に医師は言いました。
「何かあれば、またいつでも来てください。話を聞きますよ。」
その一言で、気持ちがすっと軽くなり、薬を手放すことができました。
私は会社でメンタル不調の社員の相談を受ける立場でもあります。
けれど、まさか自分がそうなるとは思っていませんでした。
「自分が悪いんだ」と責め続ける毎日から、
「まずは誰かに話してみよう」と一歩を踏み出したことで、救われました。
この経験を通じて伝えたいことがあります。
自分を責める前に、ぜひ医師の診断を受けてみてください。
必ずしもすぐに答えが見つかるとは限りませんが、解決への糸口はきっと見つかるはずです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また、ブログでお会いできるのを楽しみにしています。
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